目標設定とダメ出し

最近、商業漫画化志望の知人にネームを見てくれと頼まれた(何年も漫画を描いているとこういうこともあるのか)。まだ見ていないのだが、僕がネームを見て言いそうなことはすでに予想できてちょっと気まずい。おそらく「単行本に載ってそうなかんじじゃない…

キャラクター優先と付加価値について

キャラクター優先主義について、また思いついたのでメモ。僕は新人漫画賞くらいまではストーリー優先で作る方が有利(参照:短編作り7つのコツ)だと考えるが、一般の漫画教本ではキャラ優先の教え方が多い。キャラクターがしっかり描かれていることのほうが…

萌える顔の長さの限界

面長で顔が細い大人の女性キャラを描いてみようと思ったが、なかなか好感の持てる美人にならない。どうも、写真で見れば美人でかわいいと思えるような顔も、漫画にすると面長になりすぎるようだ。そこで有名アニメ等の「大人の女性」ヒロインをいくつか見て…

斜め枠線のコマをどこから始めるか

普通の長方形のコマで話を進めて、話が盛り上がるところで変形ゴマを使いたくなることはよくある*1。さて、どのコマから斜めに枠線を引くべきか。 上手い人の漫画を読むと、最初のインパクトのあるコマは長方形ゴマのままで、次のインパクト時から変形ゴマに…

下書きとペン入れの中間となる丸ペン

(追記:丸ペンの線が主線にまじるとヌメっとした感じがでるのが気になってきて、この方法はほとんどやめてしまいました。全体の一割くらい。)今はコミスタの丸ペン、初期設定より太く(1mm)した設定のもので、下描きを描いてみている。主線などはGペン風…

吹き出しからペン入れする効用(コミスタ)

ある程度画の配置が決まっている場合、吹き出しを先に描いてしまうのが良いようだ。特にコミスタで作業していると、どこまでも拡大できてしまうので、ついコマを一枚の絵として見てしまいやすい。するとイラスト(一枚絵)と漫画の絵の違い - QFMの漫画技法…

トメの画・ナガレの画とコミスタの3D

漫画は複数の画を同時に視界におさめるので、基本的に一枚の画として均衡がとれたものが描けない。一枚絵として見せるコマが必要ならばふつう見開きか、表紙か、最後のページを1枚使って見せることになる。だから「決め」の絵というのは、あくまで動的な流…

濱田庄司の発想と漫画制作

「美の壷」の古い回、「益子焼」で濱田庄司についてやっていた。濱田庄司はイギリスで釉薬をスポイトで垂らし入れて作るスリップウェアに憧れ、長い時をかけてひしゃくを使った「流し掛け」という絵つけの技法に行き着いたという。「作為を嫌う」という日本…

不必要に感動させない

読んではいない。ほんとにメモ。 鳥山明先生が「マンガ脳の鍛えかた」という本の「ストーリーで気をつけていること」というインタビューで、サラリとした読み味、不必要に感動させないことを挙げているという。これはなかなか心がけるのが難しい。描き手はな…

あるはずの感情変化をスルーしない

「こういう事件が起こったら、この登場人物はこうこう思ってAをするが、やがて間違いに気づき、Bをするだろう」という順番があるとして、描き手はメンドくさいから途中のAをすっとばしたいときがある。というか、書く側としては常識的な思考や行動であるAは…

前のほうからストーリーを作るということ

ここでよく参照するマンガの創り方はストーリー作りメインの漫画教本で、山本おさむ先生は映画のシナリオの勉強をしたと書かれているが、その本で教えている漫画の作劇術は、一般的な映画のそれとはおそらくけっこう違う。ひとつは、まずテーマやテーゼがあ…

設定を伝える技術

思いついたら追記していきます。 設定を伝える際に避けたいこと 読み手にとって負担やハードルになる 面白くなくなる、テンポが悪くなる 設定から先が読めてつまらなくなる メタ 舞台を学校にするなど、想定読者に対してもっとも説明量が少なくすむ設定にす…

短編作り7つのコツ

「漫画 短編 コツ」という検索で来る方がとても多いので……僕なんかがコツを披露すると言う無理を承知で*1、だいたい誰に対しても言えそうな範囲の事を書いてみます。「雑誌に投稿する、初めてストーリー漫画を描くような人」を想定しています。 1.作品の規模…

「作品のジャンル分け」の意味

評論的な立場や読む側にとっての意味は深く考えた事がないが、話を作る側からすると、話の類型・ジャンル分けには意味がある。また料理で例える。すべての食材に好き嫌いが無いような人でも、やはりそこには特に好きな食材と、あまり得意でないものがあった…

ネームが面白くならないとき

プロットは満足できているのに、背景やキャラの設定で迷いが生じていると、ネームを描いてもなんだかゆるくて作業時間もかかる……という事になりがちだ。「前の作業がちゃんとできていない」パターンである。 どこに面白さがある作品なのか構造を把握して、適…

途中から人の提案を取り入れて作品を作るのは難しい

作品を作っていく途中で、人の「提案」を取り入れるのはちょっと注意が必要だ。好みの近い人物の意見は貴重だが、それでもじつは提案より批判をもらったほうが直しやすいということがある。作品と言う形で答えを出すのは漫画家自身の仕事だからだ。よく会議…

心象風景を描写して動きを出すの術

(漫画はまだ集大成した創作法がないこともあるけれど、いろんな細かい技の集積で成り立っている部分がある。そういう「術」もコツとしてメモしていく。)キャラが考えてばっかりで、絵的な動きが出なくて困る場面はよくある。なるべくキャラ本人達を動かし…

プロット作業の要点

コマ割りに続いて「プロット」「コツ」で検索してくる方が多いので、偉そうに言えるような立場ではありませんが、僕のプロット作業での要点を書いておきます。より具体的な事、話をどういうふうに転がすかはマンガの創り方―誰も教えなかったプロのストーリー…

喜劇を作るためにジレンマを作る

喜劇(コメディ・ギャグ)の作り方を考えていた。実は一時期挑戦して、これはちょっと難しいとあきらめた事がある。ギャグ作家は疲弊するというから、たいそう頭を使うのだろう。本などで「作り方」を読むと、だいたい悲劇(ドラマ)の作り方と同じく「ミス…

作品の都合を全面的に受け入れたヒロインの魅力

爆発的な人気を得たヒロインについて思いを馳せているうち、彼女達はキャラ設定をだいぶ話の都合に譲っていると気がついた。「うる星やつら」のラムが、当初はゲストでヒロイン予定ではなかったというのは割と知られた話だと思う。ヒロイン予定だったはずの…

躍動主義

漫画のキャラは動いていたほうがいい、躍動感があるほうが良いという考え方がある。理由として 文章コンテンツとの差別化*1 漫画はそのように発展してきた*2 が考えられる。しかし躍動感にも限度があるわけで、もし躍動していればいるほど良いのなら、アクシ…

思いついたコツやポイント5・夢に似せた情報の出し方

最近夢から醒めたときに、気がついたこと。 寝ていても、「音」はずっと聞こえてる。 そして夢の「映像」が見えると、音と合わせて脳が「意味」を把握する。 すると話が動きそうな方向に動き出す(主に『映像が動く』)。 映像を追っていくと、自分がリアク…

短編で感情移入できる主人公

短い読み切りでドラマをやりたい時、主人公に感情移入してもらうのは長い話よりも難しい。それがうまい人は、なにかしらテクニックを持っているのだろう。ちょっとした共感できるセリフ回しや、かわいい絵、主人公に思わず応援したくなる弱点を持たせる方法…

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画面は踊る、されど興無く

技法メモと称しておきながらやたらと「心構え」が多いが、まあ良いことに……。いい演出が思いつかない時、とりあえずキャラが走ったり戦ったりする展開にするなど、表面的に動かしてみるという手があると思う。またあおりやアップ、流線や描き文字、いろいろ…

漫画のようなもの

今まで何作か短編を描いてみた。まだ、漫画を描けているという感じがしない。 (デジタルだが)紙の上に、なにかコマを割って、絵を入れて、漫画らしきものを描いているだけというかんじがする。 しかし、自分のような者が言うのもなんだが、それでいいのか…

読者の予想と結果がキャラの大きさ・立ち具合を決める

キャラが立っている=そのキャラの次の行動(物語上の役割)がある程度予想できる→キャラがその通りに行動する→予定調和が生まれる 予想が簡単なキャラ→キャラが強い 行動が予想通り→単調・子供向け 意外と行動が当たらない→意外性・万人向け 予想が難しいキ…

ロールモデルと引き出し

たいした話ではないけれど……。こういう漫画が描きたいとか、こういう漫画家になりたいという「ロールモデル」を追うやり方は、創作の世界に関しては難しい道だろうと思う。その憧れの作者と自分は、個性がまるで違うからだ。多少感性が似ているとしても、ち…

適切なひねり

よくストーリー作り、脚本作りの基本に「ミスリード」と「起承転結」とを教えるものがある。こうかと思わせて実は違ったという「ミスリード」は語りにひねりを与え、前述のベタとひねりでも述べたように読者を楽しませる。「起承転結」は、その語りのダイナ…

基本枠の中におさめること

市販の漫画原稿用紙だけでなく、コミスタのファイルにも基本枠の線(B4版で180×270mm)が入っている。雑誌の漫画投稿の決まりの中で、このサイズで原稿を作成しなさいと書いてあることも多い。ただ実際には、断切り線*1いっぱいまで絵を描く*2「断切り」によ…