長編ストーリーをどこから始めるか

「面白いところから始めればよい」で終わりなのだが、面白さには「わかりやすさ」も含まれている。しかしわかりやすいからと言って、面白くなければ続きを読んでもらえない。ストーリーをどこから始めるかは、ストーリー構成で頭を悩ませることの多い問題だ。…

ニュートラルでいること

前に声優の若本規夫さんがラジオで言っていたのだけれど、今から演技をしようと思ってハイ、スタートで入るというのは、よくないらしい。 自分から役へと、すべてを急に切り替えるのではなく、そのまえから、ふだんの自分の中からだんだんその役を表に出して…

群像劇に関するメモ

群像劇、を分かりやすくする仕組みを、昔、舞台でアイドル20人近く同時に出る脚本を書いている脚本家の麻草さん(id:screammachine)から聞いたのですが、ある物語、キャラクターを作ったら、その変奏である物語やキャラクターを配置すると、まとまりが出る…

「人のマネから入れ」という意見

漫画に限らないが、よく初心者に対して「人のマネから入れ」というアドバイスがある。だいたい以下のような考えに基づくと思う。 娯楽において真のオリジナリティーなどはそうそうあるものではない 自分が信じている天性のオリジナリティーなどたいしたもの…

世界観を提示する1ページ目のメモ

(ポスト)アポカリプス物 漂流教室 空と雲 母への手紙 AKIRA 地球、台風の目のような黒い半球 1982年、関東地区、新型爆弾 北斗の拳 核爆発ときのこ雲、崩壊した都市 199X年、全面核戦争 ドラゴンヘッド 暗闇 進撃の巨人 目を丸くする西洋ファンタジー風民…

ペンの継ぎ方

今まで下書き通りにペンを入れていたのだが、下書きのときに線の途切れ目になるような、線を引きにくい部分からペンを入れていくと、その後きれいに線が継げることに気がついた。 下描き時に切れ目になる部分はようするに線のカーブがきつくなる部分で、ペン…

線の抑揚の法則

漫画で線画を描き始めて最初まったくわからないのは、線のどこを太くしてどこを細くすればいいのかだ。プロの作品はたいてい抑揚がついているが、その法則性がわからない。人それぞれ(漫画のジャンルや作風によっても)違うものなので正解を記すことは難し…

就寝前後の妄想の効用

夜寝る前でもいいが、とくに朝、起きた時に自分の漫画の世界で妄想を広げておくといい。 バカなことでも、下卑たことでも、客観性が目を覚ます前に、まどろみの中で妄想の断片を増やしておく。その内容は使えないことも多いが、作者の無意識でフィルターをか…

髪の房

髪の房はたばねた筆先のように、中程を太く描く。 根本を広くして中ほどを太くしない場合、ぺらぺらした平たい髪の束にみえる。

絵の情報量

では、たとえば「リアルな絵」はどちらに帰属するだろう。最初は「気になる絵」だ。他者の作品よりも特にリアルで際立っていれば、それは「気になる」という点で良い絵なのだ。しかし人はさらにリアルな世界に生きており、情報量の多い絵も(それが読み続け…

良い絵

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)作者: 荒木飛呂彦出版社/メーカー: 集英社発売日: 2015/04/17メディア: 新書この商品を含むブログ (33件) を見る「荒木飛呂彦の漫画術」の中で特に感銘を受けたのはp23からの内容、「絵柄はどんなものが魅力的か」だ。わざわ…

萌え漫画の中で面長・細面のヒロインを描くには

萌える顔の長さの限界 - QFMの漫画技法メモの続きのような話。萌え要素がある漫画では、キャラを頭でっかちに描く技法が一般的で、頭でっかちにすればするほど萌え効果は大きい*1。逆に顔を面長に描くと、顔部分の面積が大きくなり、相対的に頭が小さくなる…

脱線の作法

漫画の面白さはドラマティックなストーリーだけではない。ストイックでムダゴマのない1本道の漫画ももちろんいいが、本筋とは関係ない脱線したコマやシークエンスを描きたくなる場合もある。よくあることだが本筋が重々しくなってきたからテーマとは関係の…

「漫画 顔を描くと面長に」

という検索ワードで来られた人がいるが、2つパターンがあると思う。ひとつは萌える顔の長さの限界 - QFMの漫画技法メモに関連するように、「実は童顔である女性キャラを大人っぽく見せるという萌えの技法」を使っていないから。わりと高度なキャラクターデ…

ミッドポイントを超えてからのストーリー変更

連載のように前からストーリーを書いていくとき、ミッドポイントを超えたらもう、ストーリーは変更しない方がいい。 変えようとすると整合性がとれなくなったり、テーマがあやふやになったりするからだ。 例えば、決定的な問題を起こす人物が登場してしまっ…

目の上下の線のカーブについて

目を描くとき上の線(まぶたの線)はかまぼこ型のカーブを描くわけだが、特に目のカーブの一番上のあたりを、きっちりなめらかな上向きの円弧にしておくと人間的な温かみが出る。そのカーブにおいてちょっとでも直線的な部分を作ると、冷たい感じが出てくる…

漫画で出す脳内物質

※僕に脳の専門知識はありません。ネットの読みかじりです。 ドーパミン : 快楽全般で生じる。強い場合はドキっとする。萌えもコレ。「好き!」ってかんじ。食べる時も出る。*1 エンドルフィン : モルヒネの6倍と言われる最強の脳内麻薬。スカッと爽快になる…

鼻をちゃんと描かないことを恐れない

萌え系の絵で女の子を描くとき、鼻が点のようになることが多い。 角度をつけたときは、三角のような「く」の字のような、なんともいえない記号的形状になる。 そういう絵を何度も描いていると、ちゃんと立体的に説明のつく形状に修正したくなってくる。 しか…

喜劇の絵と悲劇の絵のタッチ

しばらくコメディっぽい話を描いていたら、ドラマパートに入ってまったく筆がのらなくなってしまった。前は描けたのに、どうしてもちょっと笑ってしまうような、間の抜けたシリアスシーンになってしまう。デフォルメの問題か、構図かなどと悩んでいたが、ど…

首はちょっと短く

描いた後で、首が長過ぎたと気づくことが多い。 特に女の子を描くとき、普通の首を描いて、その上にデフォルメされた大きめの顔を描いてしまうことが多い。 顔が大きい分、ちょっと短めに描いておくのが正解だ。肩からあごまでのラインで判断するのではなく…

3の法則を使って失敗

信頼する知人からネームを直したほうがいいと言われた。原因は、主人公が自主的に活躍するシーンが少ないことだ。都合により全体のページ数が少ないので、活躍のためのページ数割当てがそもそも少なかった。その中で僕は「3の法則」を使ってストーリーを作…

ネームは寝てから

ネームを描くときは、なるべく寝てから描くようにしている。少し集中力が下がるだけで著しく効率が下がるのだ。もともとやる気がないわけではないので、にもかかわらず「ちょっと休みたいな」と思うときは、もう疲れすぎているのだ。できれば寝てしまったほ…

人はインターフェイスの王

ここで言う漫画のインターフェイス性とは僕が使っているだけの用語で、読み手に対するとっつきやすさ、理解しやすさといったこと。ほとんどの日本人にとって、風の谷のナウシカよりもサザエさんのほうがインターフェイス性が高いという具合だ。複雑な設定や…

ラストが変更になったとき

僕は物語の前と後ろから作って、起承転結で言うと承を最後に作るタイプだ。しかし直しをするときには「起承」までを活かして「転結」は変えようということになったりする。これがなかなかうまくいかなくて七転八倒する。問題はラストの発想法なのだと思う。…

心理的葛藤をモノローグにしない

このまえ人から言われたことで、心理的葛藤をモノローグにせずに全部行動で見せたほうがいいんじゃないかということ。(ただし戦略を考えたりするロジカルシンキングや、状況説明のモノローグは適度にしてよい) 当然、その分コマも制作時間も食ってしまうの…

主人公とはなにか、「主人公性」に寄与する属性

主人公は独自の定義で主人公の善し悪しが語られることが多い。その定義はいろいろあると思うが、僕は一般に思われているよりも「主人公性」に寄与する属性はいろいろあると思う。ここでのまとめをしておく。用語は独自。 インターフェイス性 作り手と読み手…

「漫画はおやつ」論について

手塚治虫先生が「漫画はおやつ」論を建前だとしていたという話。初耳なのでメモ。 PTAでマンガが悪影響と問題になった時テレビに出て 「漫画はおやつです」「子供は漫画が好きなのです」 「親も子供といっしょに漫画を見てほしいですね」 と批判をかわす為の…

胴体までの一体感

キャラデザをするときに、顔と髪は一生懸命やるけど、それ以外は適当になってしまうことが多い。 大ゴマで頭からひざ上ぐらいまで描くことは多いので、肩をふくめて胴体全体のデザインのインパクトとか、キャラのたちかた、一体感はけっこう重要だと思う。(…

商品を意識した連載作品の構成

日本の多くの漫画は雑誌に連載されている。作品が定期的に刊行される雑誌に載ることは、その作品の単行本の宣伝になる。コンテンツ自身がプロモーションにもなっていることが特徴だ。連載が終われば、一部の人気漫画をのぞいて単行本にあらためて宣伝費が下…

価値ソフト

グレッグ・イーガンのSF小説に価値ソフトというガジェットが出てくる。人がそれを自分にインストールすると何千年もの宇宙航行がまったく退屈でなくなったりできる。つまり価値観をガラっと変えられるのだ。SFなのでドラスティックな効果が現れるが、面白い…