2010-01-01から1年間の記事一覧

短編作り7つのコツ

「漫画 短編 コツ」という検索で来る方がとても多いので……僕なんかがコツを披露すると言う無理を承知で*1、だいたい誰に対しても言えそうな範囲の事を書いてみます。「雑誌に投稿する、初めてストーリー漫画を描くような人」を想定しています。 1.作品の規模…

「作品のジャンル分け」の意味

評論的な立場や読む側にとっての意味は深く考えた事がないが、話を作る側からすると、話の類型・ジャンル分けには意味がある。また料理で例える。すべての食材に好き嫌いが無いような人でも、やはりそこには特に好きな食材と、あまり得意でないものがあった…

ネームが面白くならないとき

プロットは満足できているのに、背景やキャラの設定で迷いが生じていると、ネームを描いてもなんだかゆるくて作業時間もかかる……という事になりがちだ。「前の作業がちゃんとできていない」パターンである。 どこに面白さがある作品なのか構造を把握して、適…

途中から人の提案を取り入れて作品を作るのは難しい

作品を作っていく途中で、人の「提案」を取り入れるのはちょっと注意が必要だ。好みの近い人物の意見は貴重だが、それでもじつは提案より批判をもらったほうが直しやすいということがある。作品と言う形で答えを出すのは漫画家自身の仕事だからだ。よく会議…

心象風景を描写して動きを出すの術

(漫画はまだ集大成した創作法がないこともあるけれど、いろんな細かい技の集積で成り立っている部分がある。そういう「術」もコツとしてメモしていく。)キャラが考えてばっかりで、絵的な動きが出なくて困る場面はよくある。なるべくキャラ本人達を動かし…

プロット作業の要点

コマ割りに続いて「プロット」「コツ」で検索してくる方が多いので、偉そうに言えるような立場ではありませんが、僕のプロット作業での要点を書いておきます。より具体的な事、話をどういうふうに転がすかはマンガの創り方―誰も教えなかったプロのストーリー…

喜劇を作るためにジレンマを作る

喜劇(コメディ・ギャグ)の作り方を考えていた。実は一時期挑戦して、これはちょっと難しいとあきらめた事がある。ギャグ作家は疲弊するというから、たいそう頭を使うのだろう。本などで「作り方」を読むと、だいたい悲劇(ドラマ)の作り方と同じく「ミス…

作品の都合を全面的に受け入れたヒロインの魅力

爆発的な人気を得たヒロインについて思いを馳せているうち、彼女達はキャラ設定をだいぶ話の都合に譲っていると気がついた。「うる星やつら」のラムが、当初はゲストでヒロイン予定ではなかったというのは割と知られた話だと思う。ヒロイン予定だったはずの…

躍動主義

漫画のキャラは動いていたほうがいい、躍動感があるほうが良いという考え方がある。理由として 文章コンテンツとの差別化*1 漫画はそのように発展してきた*2 が考えられる。しかし躍動感にも限度があるわけで、もし躍動していればいるほど良いのなら、アクシ…

思いついたコツやポイント5・夢に似せた情報の出し方

最近夢から醒めたときに、気がついたこと。 寝ていても、「音」はずっと聞こえてる。 そして夢の「映像」が見えると、音と合わせて脳が「意味」を把握する。 すると話が動きそうな方向に動き出す(主に『映像が動く』)。 映像を追っていくと、自分がリアク…

短編で感情移入できる主人公

短い読み切りでドラマをやりたい時、主人公に感情移入してもらうのは長い話よりも難しい。それがうまい人は、なにかしらテクニックを持っているのだろう。ちょっとした共感できるセリフ回しや、かわいい絵、主人公に思わず応援したくなる弱点を持たせる方法…

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画面は踊る、されど興無く

技法メモと称しておきながらやたらと「心構え」が多いが、まあ良いことに……。いい演出が思いつかない時、とりあえずキャラが走ったり戦ったりする展開にするなど、表面的に動かしてみるという手があると思う。またあおりやアップ、流線や描き文字、いろいろ…

漫画のようなもの

今まで何作か短編を描いてみた。まだ、漫画を描けているという感じがしない。 (デジタルだが)紙の上に、なにかコマを割って、絵を入れて、漫画らしきものを描いているだけというかんじがする。 しかし、自分のような者が言うのもなんだが、それでいいのか…

読者の予想と結果がキャラの大きさ・立ち具合を決める

キャラが立っている=そのキャラの次の行動(物語上の役割)がある程度予想できる→キャラがその通りに行動する→予定調和が生まれる 予想が簡単なキャラ→キャラが強い 行動が予想通り→単調・子供向け 意外と行動が当たらない→意外性・万人向け 予想が難しいキ…

ロールモデルと引き出し

たいした話ではないけれど……。こういう漫画が描きたいとか、こういう漫画家になりたいという「ロールモデル」を追うやり方は、創作の世界に関しては難しい道だろうと思う。その憧れの作者と自分は、個性がまるで違うからだ。多少感性が似ているとしても、ち…

適切なひねり

よくストーリー作り、脚本作りの基本に「ミスリード」と「起承転結」とを教えるものがある。こうかと思わせて実は違ったという「ミスリード」は語りにひねりを与え、前述のベタとひねりでも述べたように読者を楽しませる。「起承転結」は、その語りのダイナ…

基本枠の中におさめること

市販の漫画原稿用紙だけでなく、コミスタのファイルにも基本枠の線(B4版で180×270mm)が入っている。雑誌の漫画投稿の決まりの中で、このサイズで原稿を作成しなさいと書いてあることも多い。ただ実際には、断切り線*1いっぱいまで絵を描く*2「断切り」によ…

人物の頭上を空けるべきか

漫画教本ではよく、登場人物を描く際は頭が切れないように描けと言われる。頭上に空白があることで、スッキリ読みやすくなるからである。しかし現在売れている漫画を読めば、頭を切った構図などいくらでも見つかる。「気にしない漫画家もいるが本当は頭上を…

「キャラクター優先」について

もうひとつ、キャラクターに関して勘違いしていたことがある。「キャラから作る」「キャラクター優先」という芸当は、人形を用意して即興で人形劇を展開するようなもので、僕にはできないと考えていた。しかし「キャラから」という作品でも、通常は作品の「…

キャラクターとは〜性格の設定

今まで、キャラクター作りというものを、勘違いしていたかもしれない。もともとキャラクターとは「文字」「記号」であり、漫画では図像となる。作品の中で複数のコマに渡って同一の物として登場する記号、図像の格(多くは人格)こそがキャラクターだ。(参…

安易に血縁関係を設定すべからず

たぶん100Pくらいになるストーリーを考えている。漠然としたストーリーの流れが決まってそれに当てはまるキャラクターを考える段だ。若い男が生命の危機にたち、若い女がそれを救おうとする話。まず女が男を救う動機づけにページを食わないように、兄妹か姉…

読者を置きざりにする省略の罠

知り合いにネームを見てもらった。ある自信家の男性が息子を失って、がっくりと老け込み、その結果……というストーリー展開があったのだが、「なんのために息子が死ぬシーンがあるのか分からなかった」と言われた。息子がでてきてすぐにさらっと死んでしまう…

読み手の天才

漫画の絵は、読者の解釈によって完成する。例えばキャラクターの顔の真ん中にあるチョコチョコとした線を見て「これは鼻のここからここまでを描いた線だな」といった理解の元で絵が成り立つので、漫画文化を知らない人が見ると、あだち充のキャラの顔の真ん…