ロールモデルと引き出し

たいした話ではないけれど……。

こういう漫画が描きたいとか、こういう漫画家になりたいという「ロールモデル」を追うやり方は、創作の世界に関しては難しい道だろうと思う。その憧れの作者と自分は、個性がまるで違うからだ。多少感性が似ているとしても、ちょっとした個性の差が作品を大きく変えることは想像に難くない。好きな作家と自分とは時代的状況も違うだろう。

自分の中から自分の状況にあった作品をひねり出す時、「あ、この話はあの作家みたいに描いたらどうだろう」となるのが、正しいというか楽な手順だと思う。「ロールモデル」ではなく、「引き出し」にするのだ。かっこいい横文字でなんて言うのかは知らない。ストック?

まあ絵柄は好きな漫画家を真似するのが早道かもしれない。アシスタントからその作家にそっくりの漫画を描いて成功する人もいるし、人間のタイプにもよると思う。同じような漫画をより効率的に、細かい部分を磨き上げていい物に仕上げられるような能力を持つ人は、「ロールモデル」から入ったほうがいいかもしれない。