ニュートラルでいること

前に声優の若本規夫さんがラジオで言っていたのだけれど、今から演技をしようと思ってハイ、スタートで入るというのは、よくないらしい。
自分から役へと、すべてを急に切り替えるのではなく、そのまえから、ふだんの自分の中からだんだんその役を表に出していくべきだというようなことだった。
だから普段の自分は、いろんな役になれるニュートラルな存在でなければいけない。日常からニュートラルでいることが役作りの基本姿勢だということなのだろう。


漫画描きもそういう面があると思う。ふだんから実の人生に100%向き合っておいて、机に座ったとたんに「さあ漫画家モードだ」というのはちょっと無理がある。
ふだんの生活からもうひとつの別の世界を生きているような、ニュートラルな存在であるほうがいいだろう。
そういう人はどんな行動を取るだろうか。日常からちょっと斜に構えていたり、屈折したものの見方をしたり、妄想に逃避したりするのではないだろうか。


いくつもの役を同時並行でこなす声優さんほどニュートラルでなくてよいかもしれないが、心しておきたい。