ストーリー

長編ストーリーをどこから始めるか

「面白いところから始めればよい」で終わりなのだが、面白さには「わかりやすさ」も含まれている。しかしわかりやすいからと言って、面白くなければ続きを読んでもらえない。ストーリーをどこから始めるかは、ストーリー構成で頭を悩ませることの多い問題だ。…

群像劇に関するメモ

群像劇、を分かりやすくする仕組みを、昔、舞台でアイドル20人近く同時に出る脚本を書いている脚本家の麻草さん(id:screammachine)から聞いたのですが、ある物語、キャラクターを作ったら、その変奏である物語やキャラクターを配置すると、まとまりが出る…

就寝前後の妄想の効用

夜寝る前でもいいが、とくに朝、起きた時に自分の漫画の世界で妄想を広げておくといい。 バカなことでも、下卑たことでも、客観性が目を覚ます前に、まどろみの中で妄想の断片を増やしておく。その内容は使えないことも多いが、作者の無意識でフィルターをか…

脱線の作法

漫画の面白さはドラマティックなストーリーだけではない。ストイックでムダゴマのない1本道の漫画ももちろんいいが、本筋とは関係ない脱線したコマやシークエンスを描きたくなる場合もある。よくあることだが本筋が重々しくなってきたからテーマとは関係の…

ミッドポイントを超えてからのストーリー変更

連載のように前からストーリーを書いていくとき、ミッドポイントを超えたらもう、ストーリーは変更しない方がいい。 変えようとすると整合性がとれなくなったり、テーマがあやふやになったりするからだ。 例えば、決定的な問題を起こす人物が登場してしまっ…

漫画で出す脳内物質

※僕に脳の専門知識はありません。ネットの読みかじりです。 ドーパミン : 快楽全般で生じる。強い場合はドキっとする。萌えもコレ。「好き!」ってかんじ。食べる時も出る。*1 エンドルフィン : モルヒネの6倍と言われる最強の脳内麻薬。スカッと爽快になる…

人はインターフェイスの王

ここで言う漫画のインターフェイス性とは僕が使っているだけの用語で、読み手に対するとっつきやすさ、理解しやすさといったこと。ほとんどの日本人にとって、風の谷のナウシカよりもサザエさんのほうがインターフェイス性が高いという具合だ。複雑な設定や…

キャラクター優先と付加価値について

キャラクター優先主義について、また思いついたのでメモ。僕は新人漫画賞くらいまではストーリー優先で作る方が有利(参照:短編作り7つのコツ)だと考えるが、一般の漫画教本ではキャラ優先の教え方が多い。キャラクターがしっかり描かれていることのほうが…

不必要に感動させない

読んではいない。ほんとにメモ。 鳥山明先生が「マンガ脳の鍛えかた」という本の「ストーリーで気をつけていること」というインタビューで、サラリとした読み味、不必要に感動させないことを挙げているという。これはなかなか心がけるのが難しい。描き手はな…

あるはずの感情変化をスルーしない

「こういう事件が起こったら、この登場人物はこうこう思ってAをするが、やがて間違いに気づき、Bをするだろう」という順番があるとして、描き手はメンドくさいから途中のAをすっとばしたいときがある。というか、書く側としては常識的な思考や行動であるAは…

前のほうからストーリーを作るということ

ここでよく参照するマンガの創り方はストーリー作りメインの漫画教本で、山本おさむ先生は映画のシナリオの勉強をしたと書かれているが、その本で教えている漫画の作劇術は、一般的な映画のそれとはおそらくけっこう違う。ひとつは、まずテーマやテーゼがあ…

「作品のジャンル分け」の意味

評論的な立場や読む側にとっての意味は深く考えた事がないが、話を作る側からすると、話の類型・ジャンル分けには意味がある。また料理で例える。すべての食材に好き嫌いが無いような人でも、やはりそこには特に好きな食材と、あまり得意でないものがあった…

プロット作業の要点

コマ割りに続いて「プロット」「コツ」で検索してくる方が多いので、偉そうに言えるような立場ではありませんが、僕のプロット作業での要点を書いておきます。より具体的な事、話をどういうふうに転がすかはマンガの創り方―誰も教えなかったプロのストーリー…

喜劇を作るためにジレンマを作る

喜劇(コメディ・ギャグ)の作り方を考えていた。実は一時期挑戦して、これはちょっと難しいとあきらめた事がある。ギャグ作家は疲弊するというから、たいそう頭を使うのだろう。本などで「作り方」を読むと、だいたい悲劇(ドラマ)の作り方と同じく「ミス…

思いついたコツやポイント5・夢に似せた情報の出し方

最近夢から醒めたときに、気がついたこと。 寝ていても、「音」はずっと聞こえてる。 そして夢の「映像」が見えると、音と合わせて脳が「意味」を把握する。 すると話が動きそうな方向に動き出す(主に『映像が動く』)。 映像を追っていくと、自分がリアク…

適切なひねり

よくストーリー作り、脚本作りの基本に「ミスリード」と「起承転結」とを教えるものがある。こうかと思わせて実は違ったという「ミスリード」は語りにひねりを与え、前述のベタとひねりでも述べたように読者を楽しませる。「起承転結」は、その語りのダイナ…

「キャラクター優先」について

もうひとつ、キャラクターに関して勘違いしていたことがある。「キャラから作る」「キャラクター優先」という芸当は、人形を用意して即興で人形劇を展開するようなもので、僕にはできないと考えていた。しかし「キャラから」という作品でも、通常は作品の「…

安易に血縁関係を設定すべからず

たぶん100Pくらいになるストーリーを考えている。漠然としたストーリーの流れが決まってそれに当てはまるキャラクターを考える段だ。若い男が生命の危機にたち、若い女がそれを救おうとする話。まず女が男を救う動機づけにページを食わないように、兄妹か姉…

読者を置きざりにする省略の罠

知り合いにネームを見てもらった。ある自信家の男性が息子を失って、がっくりと老け込み、その結果……というストーリー展開があったのだが、「なんのために息子が死ぬシーンがあるのか分からなかった」と言われた。息子がでてきてすぐにさらっと死んでしまう…

思いついたコツやポイント4・主張の出し方

作品の中に「言葉で言ってしまいたい主張」がある場合、よくそれを「テーマ」として扱い、作中のクライマックスに持ってくることがある。ただ、クライマックス向きでないテーマはある。「真っ白に燃え尽きたよ」くらい、よく練れたセリフに集約できればラス…

思いついたコツやポイント3・作中書物で情報圧縮

登場人物が話したりするにはちょっと長い説明が必要だな……というとき、その情報を作中に書物の形で出してやると、コマの節約ができる。 セリフにすると不自然すぎる「非常にまとまった考えや感情」も、その人が書いた手紙やメモという形で出してやると自然に…

ベタとひねり

「盛り上がったストーリーなのに、最後のページでちょっとコミカルなことをやってちんまり終わる漫画が嫌い」という人がいる。たしかにそういう漫画はあるし、僕はそういう漫画が嫌いじゃない。その話が出た時は、「単行本ベースで考えて、次の話を始めやす…

出だしの葛藤

最初の2P、読み出しとなるあたりは一番気をつかうところだ。書き手としては、一刻も速くキャラを立てたい。自然に動かして、アクションやリアクションを取らせたい。主要人物同士の関係性を説明したい。でも背景説明もしたい。学生で高校に通っているぐらい…

ストーリーの最初の一巻き

ストーリー(シノプシス・筋)を考えていると、ちゃんとオチる筋を考えついて、よし!できた!と思うことがある。 たしかにそれで書き始めることはできるんだけど、それは最低限起承転結ができているだけで、ストーリー作りとしてはスタートラインに近い。 …

ご都合主義について雑感

ドラえもん単行本収録最終話「ガラパ星からきた男」を読んで考えたこと。以下、ネタバレ含みます。 ラストシーンでガラパ星人の宇宙船をのび太たちが追い逃がすピンチに、のび太が進化させて逃がしてしまったしずかちゃんのカナリヤが、宇宙船に衝突して宇宙…