ストーリーの最初の一巻き

ストーリー(シノプシス・筋)を考えていると、ちゃんとオチる筋を考えついて、よし!できた!と思うことがある。
たしかにそれで書き始めることはできるんだけど、それは最低限起承転結ができているだけで、ストーリー作りとしてはスタートラインに近い。
例えれば、アサガオのつるが伸びて、支え棒に1回巻き付いて、よし、これで伸びて行けるぞ、という段階なのだと思う。
そこからどれだけアサガオを伸ばして、支えにガッチリ巻き付けて行けるかどうかが勝負だと思う。
この場合の支え棒とは、作品のテーマのようなものだと思う。何を言いたいか、テーゼは最初から決まっていたとしても、最終的に作品からどういう印象を与えたいか、醸したいか、ということは、描いてみないとなかなか分からない。
ストーリーを練るということは、透明でまだどういう形をしているか分からない支え棒に、アサガオのつるを伸ばしながらきっちり巻き付けていくような作業だと思う。
例えば最初に思いついたオチを、ストーリーの序盤、8ページめぐらいで出してしまったらどうだろうと考える。そこからもっとねじってねじっていって、もうねじれないと思った所が、その作品が持っている本来のスケールなのではないだろうか。
またそういう癖をつけておけば、あるストーリーが、どこで終わるべきなのか適切に見定められるようになるかもしれない。
話のディテールに関しても、支え棒にぴったり強く巻き付くように、細かく細かく巻いて行く、話を詰めて行く必要がある。
最初の構想段階で、ここにあれをひっかけよう、もう少し先でこのネタを……と思っていたものが、実際に話を進めてみるとうまく巻き付かなかったり、そこに支え棒は無かったりする。入念な材料集めをしても無駄になることがある。テーマが間違っている可能性もある。
以上はただの例えだけれど、自分の場合はとりあえず、最初の一巻きで安堵してしまわないように気をつけていたいと思う。