主人公の相手役の恋愛体質

漫画の主人公が思いを寄せる相手と言えば、別に主人公じゃなくてもすぐに恋人ができそうな、恋愛強者である場合が多い。

それどころか、主人公がどんなダメ人間でダメ展開であっても、見事な逆転劇で最後は恋人になってくれるような、恋愛異能者であるケースも多々ある。

これは、短編ではページ数制約によるところが大きいようだ。たいがいの場合、主人公は人並み以上の恋愛能力を持たない。それでいて十人並みの魅力の恋人ができても読者に十分な満足は得られないので、潜在的な相手への望みは高い。

それでも相手役と最後はくっつくのだとなれば、おのずとご都合主義か、相手を恋愛異能者に仕立て上げることになる。本物の人間のように、時間をかけて恋人を選ぶようでは、その前に話が終わってしまう。

どんな短編でも通常、最低1個の恋愛フラグを(リアリティというよりもカタストロフィーと物語の完結性のために)立てて、ラストで結ばれるようにする。その場合、その1シーンで主人公に惚れてくれる以上な恋愛体質が、相手役に求められることもある。こうなるともう、尋常の人ではあり得ない恋愛体質もいたし方なしとなる。

ページ数を多く恋愛模様に割くことが出来る場合、恋愛のプロセスは現実に近い具体性を持つ事ができるので、主人公と相手役の縁も深まりやすくなる。すると相手役の異能に頼ることなく、主人公の力で恋を成就できるようになる。

長期連載のラブコメなどでは、主人公の相手役は逆にかんたんにはなびかない要素を持っていたりする。実際の人間に近い複雑性を持たせる事も可能になってくる。それはそれで、恋愛を引き延ばすため、いつまでも宙ぶらりんな関係性でとどまってくれる特殊能力が必要になってくるわけだが。